この記事の要点
ホームページの欠陥は、制作費の高い安いではなく、公開中のサイトの「画面外欠陥」を置き場所ごとに開いて確かめることで判断できます。フォーム送信先・アクセス計測・ドメイン名義・更新権限など、ブラウザには映らない場所に問題がないか確認し、見つかった欠陥の種類で「直す」か「作り直す」かを決めることが、意思決定の出発点になります。
「安い会社を選んで後悔した」という声を、発注側の現場でよく耳にします。ただ、振り返ってみると後悔の多くは「価格」への後悔ではなく、「確認しなかったこと」への後悔です。
ページが綺麗に見えている。スマートフォンでも崩れない。問い合わせボタンも押せる。それでも、数ヶ月後に「フォームの送信先がずっと間違っていた」「アクセスデータが一度も取れていなかった」「ドメインが制作会社の名義だった」と気づく事例は、決して珍しくありません。
この記事では、公開中のサイトで今日から確かめられる「画面外欠陥」の置き場所と、見つかった欠陥への対処判断を整理します。安い会社を選んだかどうかより先に、確認すべき場所があります。
目次
公開中のサイトで確かめられる「画面外欠陥」とは
ブラウザでは見えない場所に問題が隠れている
ホームページの欠陥と聞くと、多くの担当者がまず「デザインの崩れ」や「リンク切れ」を思い浮かべます。しかし実際に問題になりやすい欠陥は、ブラウザを開いても目に入らない場所に存在します。
見た目には完成しているように見えるサイトでも、管理画面や設定を開いてみると、送信先メールアドレスが初期値のまま放置されていたり、計測タグが正しく埋め込まれていなかったりすることがあります。閲覧する方には何も気づかれないまま、その状態が何ヶ月も続くことがある。これが、ブラウザでは見えない欠陥の怖さです。
「画面外欠陥」の定義——成果や運用を止める不備
この記事では、こうした不備を「画面外欠陥」と定義します。
画面外欠陥とは、ブラウザでページを閲覧しても目に入らず、管理画面・設定・契約書類を開いて初めて確認できる、成果や運用を止める不備のことです。
「画面外」という言葉は、欠陥の居場所を指しています。デザインや文言は問題なくても、その裏側にある設定・権限・契約の構造に欠陥があれば、問い合わせは届かず、データは蓄積されず、更新もできない。サイトが「動いているように見えるだけで、機能していない」状態になります。
この定義は、記事を通じて一貫して使います。
ホームページはすでに多くの企業が持っている——差は有無ではなく中身
常用雇用者100人以上の企業の93.3%がホームページを開設している
総務省『通信利用動向調査』によると、常用雇用者100人以上の企業のうち93.3%がホームページを開設しています(この数値は常用雇用者100人以上の企業が対象であり、規模の異なる企業には直接適用できません)。
この数値が示すのは、ある規模以上の企業においてホームページを「持っているかどうか」はほぼ差がないということです。インターネットを通じた情報発信が当然の時代に、「ホームページを作ること」は競争上の優位にはなりません。
ホームページの有無ではなく、その中身で差がつく
差が生まれるのは、ホームページの「状態」です。
問い合わせが届いているか。アクセスデータが正しく記録されているか。コンテンツを自社で更新できるか。ドメインの権利は自社にあるか。これらは見た目には映りませんが、集客や運用の結果に直接つながる要素です。
画面外欠陥の有無は、こうした「状態の差」を生む主な要因の一つです。制作費が高かったからといって欠陥がないわけではなく、安く作ったからといって必ず欠陥があるわけでもありません。決め手は「確認したかどうか」にあります。
見た目の出来と欠陥は別物——「画面外欠陥」の定義
デザインが良くても、成果に結びつかないサイトがある
デザインが洗練されていて、写真も美しく、コピーも読みやすい。それでも、問い合わせが一件も来ない——そういうサイトが実在します。
原因は「見た目」の外にあります。フォームの送信先が設定されていない。計測タグが入っていないのでどのページが読まれているかわからない。CMSへのログイン情報が制作会社の手元にしかない。更新を頼むたびに費用と時間がかかる。デザインとは無関係な場所で、サイトが機能を止めているのです。
D2CやEC事業を運営している企業にとって、この問題は特に深刻です。広告を出稿しても、どのページが成果に寄与しているかを計測できなければ、次の打ち手が決められない。問い合わせが届いていなければ、商談の機会そのものが失われています。
「画面外欠陥」は発注側と制作側の両方を見てきた視点から定義される
「画面外欠陥」という概念は、制作物を納品する側だけでなく、実際に事業のWeb運用を担う側の視点がなければ定義できません。
制作側の視点だけでは、「ページが公開されていれば完成」という判断になりがちです。しかし発注側・運用側から見ると、「公開されている」ことと「機能している」ことは別物です。この両側を見てきた観察から、「画面外欠陥」という整理が生まれています。
造語ではありますが、この概念を持つことで、担当者として制作会社への確認をより具体的に行えるようになります。
欠陥が隠れている4つの置き場所と確認方法

置き場所ごとに確認すべき画面が異なる
画面外欠陥は、一か所に集中しているわけではありません。複数の置き場所に分散して存在します。そして置き場所によって、「どの画面を開くか」「誰に何を聞くか」がそれぞれ異なります。
この記事では、以下の4つの置き場所を順番に確認します。
- フォーム送信先
- アクセス計測の設定
- ドメインとサーバーの名義
- 自社での更新・編集権限
確認に必要な情報と確認先を整理する
各置き場所を確認するには、特定の情報が必要です。管理画面へのログイン情報、契約書の写し、ドメイン登録に使ったメールアドレスなど、手元にない情報が出てきた場合は、制作会社やサーバー管理者に問い合わせる必要があります。
確認を始める前に、「どこに聞けばわかるか」の一覧を手元に用意しておくと、作業がスムーズになります。
画面外欠陥の置き場所と確認方法
| 置き場所 | 確認に開く画面 | 確認できる人 | 見つかったときに止まるもの |
|---|---|---|---|
| フォーム送信先 | サイト管理画面のフォーム設定、またはメール受信箱 | サイト管理者、制作会社 | 問い合わせの受け取り |
| アクセス計測 | Google Analyticsなどの計測ツール管理画面 | サイト管理者、マーケティング担当者 | ユーザー行動の把握、成果測定 |
| ドメイン・サーバー名義 | ドメイン登録情報(WHOIS)、サーバー契約書 | ドメイン登録者、サーバー契約者 | 将来的なサイト移管、独立した運用 |
| 自社での更新権限 | 管理画面(CMS)へのログイン、コンテンツ編集画面 | サイト管理者、自社担当者 | 自社での迅速な更新、運用の自由度 |
フォーム送信先に問題がないか確かめる
問い合わせフォームが正しく機能しているか確認する
ホームページに設置された問い合わせフォームは、見た目には正常に動いているように見えても、送信されたデータが正しい宛先に届いていない場合があります。
よくある問題として、制作会社のテスト用メールアドレスが送信先に設定されたままになっているケース、送信設定そのものが未完成のまま公開されているケース、フォームプラグインの更新後に設定がリセットされていたケースなどが挙げられます。これらはいずれも、ページを閲覧しているだけでは気づけません。
問い合わせが来ていないのか、来ているのに届いていないのかを区別するためにも、まずフォームの送信先を確認することが先決です。
確認する方法——管理画面とメール受信を確認する
確認は2ステップで行います。
ステップ1:管理画面でフォーム設定を開く
サイトの管理画面(WordPressであればContact Form 7などのプラグイン設定)を開き、送信先として設定されているメールアドレスを確認します。自社の担当者のアドレスが正しく設定されているかを確かめます。
ステップ2:テスト送信を行う
確認できたら、実際にフォームからテスト送信を行い、指定のメールアドレスにメールが届くかを確かめます。届かない場合は、サーバーのメール送信設定に問題がある可能性があります。
制作会社に確認を依頼する際は、「問い合わせフォームの送信先に設定されているメールアドレスを教えてほしい」「テスト送信の結果を一緒に確認したい」と具体的に伝えると、対応がスムーズです。
アクセス計測の設定を確認する
アクセス数やユーザー行動が正しく記録されているか
広告を出稿し、SNSで投稿し、コンテンツを更新しても、それがどのような成果につながっているかを計測できなければ、次の判断ができません。計測の前提となるのが、アクセス解析ツールの設定です。
Google Analyticsなどの計測タグがサイトに正しく設置されているか、コンバージョン計測の設定が完了しているか——これらも、ブラウザでページを見ているだけでは確認できません。タグが入っていないサイトでは、どのページが見られているか、どこで離脱しているか、問い合わせが完了しているかが一切わかりません。
D2Cや広告経由の集客を行っている場合、この欠陥は費用の無駄遣いに直結します。
確認する方法——計測ツールの管理画面を開く
ステップ1:Google Analytics(またはGA4)の管理画面を開く
対象のサイトがプロパティとして登録されているかを確認します。登録されていない場合は、タグ自体が設置されていない可能性があります。
ステップ2:リアルタイムレポートで計測を確認する
自分でサイトを訪問しながら、管理画面のリアルタイムレポートに自分のアクセスが表示されるかを確認します。表示されない場合は、タグの設置に問題があります。
ステップ3:コンバージョン設定を確認する
問い合わせフォームの送信完了ページや購入完了ページがコンバージョンとして計測されているかを確認します。
制作会社に確認を依頼する場合は、「Google Analyticsのトラッキングコードが正しく設置されているか確認したい」「コンバージョン計測の設定を見せてほしい」と具体的に伝えます。
ドメインとサーバーの名義を確認する
ドメインとサーバーの所有権が自社にあるか確認する
ドメイン(example.co.jp のようなサイトのアドレス)とサーバー(データを格納する場所)の名義が誰のものかは、将来の運用に大きく関わります。
制作会社が一括して契約を行った場合、名義が制作会社になっていることがあります。この状態でも通常の運用に支障はありませんが、制作会社との取引を終了したいとき、他の制作会社や自社に移管したいとき、または制作会社が廃業・業態変更した場合に、手続きが複雑になる可能性があります。
名義の確認は、問題が起きてからでは時間的・手続き的なコストが大きくなります。現時点でどちらの名義になっているかを把握しておくことが、将来の選択肢を広げます。
確認する方法——ドメイン登録情報とサーバー契約書を確認する
ドメインの名義確認
「WHOIS検索」と検索し、任意のWHOIS検索ツールでドメイン名を入力します。登録者(Registrant)の名義として表示される名前が自社であれば問題ありません。制作会社や個人名が表示された場合は、名義変更の手続きについて制作会社に相談します。
サーバーの名義確認
サーバーの契約書、または利用中のサーバーのコントロールパネルにログインして、アカウント情報(契約者名・メールアドレス)を確認します。ログイン情報を持っていない場合は、制作会社に「サーバーの契約者名義を確認したい」と伝えます。
制作会社に依頼する際は、「ドメインとサーバーの名義が自社になっているか確認したい」「名義変更が必要な場合の手続きを教えてほしい」と具体的に聞くと、対応がスムーズです。
自社で更新・編集できるか確認する
ホームページを自社で更新できる環境が整っているか
サイトの内容を更新するたびに制作会社に依頼しなければならない状態は、時間とコストの両面で制約になります。新しいキャンペーン情報を掲載したい、採用ページを更新したい、商品情報を変えたい——そのたびに数日〜数週間の待ち時間と費用が発生する状況では、機動性が失われます。
自社での更新権限が整っているかどうかも、画面外欠陥の一つです。CMSにアクセスできない、ログイン情報を持っていない、管理画面の操作方法を説明されていないといった状態は、形式上はサイトが存在しながら、実質的には自社がコントロールできていないことを意味します。
確認する方法——管理画面へのアクセス権と操作方法を確認する
ステップ1:ログイン情報を手元で確認する
サイトの管理画面(CMSのログインページ)へのURLと、ログインID・パスワードが自社の担当者の手元にあるかを確認します。
ステップ2:実際にログインして編集画面を開く
ログインできた場合、実際にコンテンツの編集画面を開き、文章や画像を変更できる状態になっているかを確かめます。編集ボタンが表示されない、権限が制限されているといった場合は、管理者権限が付与されていない可能性があります。
ステップ3:制作会社に権限の付与を依頼する
編集権限がない場合は、制作会社に「自社の担当者に管理者権限を付与してほしい」「管理画面の操作方法を教えてほしい」と依頼します。
見つかった欠陥で「直す」か「作り直す」かを判断する
欠陥の種類によって対応方法が異なる
4つの置き場所を確認して欠陥が見つかった場合、次のステップはその欠陥への対応方法を決めることです。
対応方法は「直す(修正する)」と「作り直す(リニューアルする)」に大別されます。欠陥の性質によってどちらが適切かが変わるため、まず欠陥の種類を整理することが先決です。
「直す」だけで解決する欠陥を、リニューアル予算が必要だと誤解したまま放置しているケースも少なくありません。逆に、「設定を直せば済む」と思っていたものが、実は構造的な問題だったというケースもあります。
判断の軸——欠陥が「設定レベル」か「構造レベル」か
欠陥の分類として、「設定レベル」と「構造レベル」という軸を使うと判断しやすくなります。
設定レベルの欠陥(修正で対応できる)
- フォームの送信先メールアドレスが間違っている
- Google Analyticsのトラッキングコードが設置されていない
- コンバージョン計測が設定されていない
- 管理者権限が付与されていない
これらは、設定画面を開いて変更するだけで対応できます。サイトの構造を変える必要はなく、費用も時間も最小限で済む場合がほとんどです。
構造レベルの欠陥(リニューアルまたは移管が必要になる場合がある)
- ドメインやサーバーの名義が自社にない
- CMSが自社では運用できない仕組みになっている
- サイト全体の設計がビジネスの現状に合っていない
これらは、設定の変更だけでは解決しません。名義変更の手続き、システムの移行、場合によってはサイト全体のリニューアルが必要になります。
複数の欠陥が見つかった場合は、設定レベルのものから先に対応し、構造レベルのものは次のリニューアルのタイミングで対応するという優先順位の付け方が現実的です。
今日、どこから確認を始めるか
ホームページの欠陥を確認するために、大がかりな準備は必要ありません。まず手元にある情報から始められます。
サイトの管理画面へのログイン情報を持っているなら、今日フォームの送信先を確認できます。Google Analyticsのアカウントにアクセスできるなら、リアルタイムレポートで計測が機能しているかを確かめられます。
確認するのに要するのは、ほんの数分です。ランチの後、次の会議が始まるまでの短い時間でも、「どこを先に確認するか」を決めることはできます。欠陥を見つけることより、確認を先送りにすることの方が、リスクは大きい。
今日の確認を、明日の判断材料にしてください。
ホームページの欠陥、確認する前に気になること——よくある質問
高い費用をかけてホームページを制作したサイトなら、画面外欠陥はないのか?
いいえ、制作費の高い安いに関わらず、画面外欠陥は発生する可能性があります。見た目のデザインに費用をかけても、フォーム設定やアクセス計測の設定が間違っていることもあります。重要なのは、実際に公開中のサイトの特定の場所を確認することです。
制作会社に「画面外欠陥を確認したい」と伝えるとき、どう聞けばいいのか?
具体的に確認したい置き場所を指定して聞くことをお勧めします。例えば「問い合わせフォームの送信先メールアドレスを確認したい」「Google Analyticsのトラッキングコードが正しく設定されているか確認したい」「ドメインとサーバーの名義を確認したい」など、具体的な項目を伝えることで、制作会社も対応しやすくなります。
ドメインやサーバーの名義が制作会社にある場合、どのような影響があるのか?
ドメインやサーバーの名義が制作会社にある場合、将来的にサイトを別の制作会社に移管したいときや、独立した運用をしたいときに手続きが複雑になる可能性があります。契約時に名義について確認し、必要に応じて自社への名義変更を依頼することをお勧めします。
見つかった画面外欠陥は、自社で直すことができるのか?
欠陥の種類によります。フォーム送信先やアクセス計測の設定など、管理画面で変更できる項目であれば、自社で直すことも可能です。ただし、ドメイン名義やサーバー設定など、技術的な知識が必要な項目については、制作会社や専門家に相談することをお勧めします。
複数の画面外欠陥が見つかった場合、どのように対応すべきか?
見つかった欠陥を整理し、「設定レベルで直る」ものと「構造レベルで作り直しが必要」なものに分類することをお勧めします。設定レベルの欠陥は優先的に直し、構造レベルの欠陥については、今後のリニューアルの際に対応するなど、優先順位をつけて対応することが効果的です。
参考資料
- 総務省『通信利用動向調査』
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