AIで書いた記事に、渡していない数字が混ざるのはなぜ?SEOライティングの落とし穴と確認方法

2026.09.28

AIで書いた記事に、渡していない数字が混ざるのはなぜ?SEOライティングの落とし穴と確認方法

AIでSEOライティングをすると、渡していない数値・調査名・経験の記述が本文に混ざることがあります。これは「空欄補完」と呼ぶ動作で、AIが渡されなかった情報を文脈から推測して埋める仕組みが原因です。確認の中心は全文を疑うことではなく、空欄補…

國嶋利幸

執筆者

國嶋利幸 | 代表取締役・株式会社ORENCH

Webデザイン・LP制作600件超の実績を持ち、D2C・食品・美容・健康領域を中心にランディングページと自社サイトの設計を手がける。市場分析からコンセプト設計、コピー、デザイン、公開後の改善までを一貫して担当。自社でもD2Cブランドを運営し、「作って終わり」ではなく数字が動くまで伴走する制作を行っている。


専門分野 Webデザイン・LP制作D2Cブランド設計ダイレクトマーケティングAI検索対策

主な実績

・LP制作600件以上の実績
・D2C・食品・美容・健康領域に特化
・自社D2Cブランドの立ち上げ・運営(薬院酵素ORECO)
・制作から公開後の改善まで一貫支援

本記事は株式会社ORENCH(福岡・Webデザイン/LP制作)が制作しています。

この記事の要点

AIでSEOライティングをすると、渡していない数値・調査名・経験の記述が本文に混ざることがあります。これは「空欄補完」と呼ぶ動作で、AIが渡されなかった情報を文脈から推測して埋める仕組みが原因です。確認の中心は全文を疑うことではなく、空欄補完が出やすい文の種類を見分けて、渡した材料と一つずつ突き合わせることにあります。自社で対応できるかは、材料を用意できる人と照合できる人が社内にいるかどうかで決まります。


AIで記事を量産できると聞いて、試してみた。出力された文章は確かに読める。見出しも整っている。でも、公開ボタンを押す直前に気づく。「この数字、誰が渡したんだっけ?」

その瞬間の感覚が、AIライティングを使いはじめた事業者の多くが一度は経験することだと私は思っています。問題は「AIが使えるかどうか」ではなく、「なぜそれが起きるのか」と「どう確認するか」を知っているかどうかです。

この記事では、AIの出力に渡していない情報が混ざる理由を整理し、公開前に確認すべきポイントと、自社で対応できるかの判断軸を説明します。


AIで書いた記事に、社内で渡していない情報が混ざる理由

実際に起きている現象──誰も渡していない数字が記事に登場する

会議室で、担当者がAIの出力をスクロールしている場面を想像してほしい。

本文には「ある調査によると、◯◯%の企業が~と回答している」という一文がある。隣にいる上長が「この調査、どこから持ってきた?」と聞く。担当者は画面を見たまま答えられない。プロンプトに渡した資料を開いても、その数値はどこにも書いていない。

これは、特定のツールの不具合でも、プロンプトの書き方が悪かったわけでもありません。AIで記事を書くときに、構造として起きやすい現象です。数値だけではなく、調査機関の名前、企業名、「私たちが支援したクライアントでは」といった一人称の経験談が、誰も渡していないのに本文に登場することもあります。

「何となく読める文章になっている」ことが、確認を後回しにさせます。流暢な文章は疑いにくい。そこに落とし穴があります。

なぜこれが起きるのか──「渡されなかった空欄」を埋める動作

AIは文章を生成するとき、前後の文脈を読みながら「次に来るべき内容」を推測します。

「◯◯という方法を使うと、~という結果が得られます」という文の構造を認識したとき、AIは「ここに根拠が必要だ」と判断します。しかし、あなたがその根拠をプロンプトに渡していなければ、AIは学習データの中から「この文脈に合いそうな情報」を引き出して埋めます。

これは文章力の問題ではありません。AIが「根拠の空欄」を認識して、もっともらしい内容で補完する仕組みの問題です。出力された文章が流暢であればあるほど、その空欄補完は目立ちにくくなります。

渡した材料の範囲でだけ書いてほしいと思っていても、AIは「この論点を完成させるために必要な情報」を自分で補ってしまう。その結果、誰も渡していない数字や固有名詞が、違和感なく本文に混ざります。


空欄補完とは何か──AIが埋める「渡されなかった情報」

「空欄補完」の定義と発生の仕組み

「空欄補完」とは、渡されなかった情報をAIが文脈から推測して埋める動作のことです。

よく聞く「ハルシネーション」という言葉と似ていますが、ここで使う「空欄補完」はより発生場所を絞った概念です。AIが事実に反する内容を生成するという広い現象ではなく、「渡されなかった箇所で起きる」補完の動作を指しています。

AIは学習データの中に、無数の文章パターンを持っています。「ある調査によると」という出だしの次に来るべき内容、「専門家が指摘するのは」の後に続くべき情報の種類、「実際のケースでは」の後に来るべき事例の形。こうしたパターンを認識して、渡されなかった情報をその場で補完します。

補完された情報が「もっともらしい」ほど、発見が遅れます。

渡した材料と出力のズレが生まれる場所

「この論点について記事を書いてほしい」とプロンプトを送ったとき、その論点を支える具体的な数値・調査名・事例を渡さなかった場合、AIはそれらを推測して埋めます。

ズレが生まれるのは、渡した材料の「境界線」です。あなたが用意した情報が尽きた先で、AIは自分で補完を始めます。その境界線は、プロンプトを書いた人には見えにくい。だからこそ、出力を確認するときに「渡した材料と照合する」というプロセスが必要になります。

補完された情報は、そのまま公開すると誤情報になる可能性があります。特にD2CやEC文脈では、商品の効果・成分・調査名などの記述に誤りがあると、薬機法・景表法上のリスクにつながることもあります。これは「AIが使えるかどうか」の問題ではなく、「確認できているかどうか」の問題です。


空欄補完が出やすい文の種類を見分ける

デスクの上に複数の資料とノートPCを広げ、出力テキストと手元の資料を見比べている場面。蛍光ペンでチェックを入れている様子

数値を含む文──「◯◯%」「◯◯件」が出現する文

出力の中で最も確認が必要なのは、数値を含む文です。

「調査によると◯◯%の企業が」「◯◯年の統計では」「◯◯件の事例を分析した結果」。こうした表現が登場したとき、その数値が社内で渡した材料のどこに記載されていたかを確認する必要があります。

数値は「それらしさ」を強く演出します。読者は数字があると、根拠があると判断しやすい。だからこそ、根拠のない数値が混ざると信頼性を大きく損ないます。

見分けるポイントはシンプルです。「この数値、どの資料から来たのか」と問いかけて、答えられなければ確認対象です。

固有名詞を含む文──「◯◯という調査」「◯◯という企業」が登場する文

調査機関の名前、研究機関、企業名、ツール名。固有名詞が登場する文も、空欄補完の対象になりやすいパターンです。

「ある調査では」という曖昧な表現だけでなく、「◯◯研究所が発表した」「◯◯という調査によると」のように、具体的な名称が登場する場合も注意が必要です。固有名詞は「具体性」を演出しますが、渡した材料に含まれていなければ、AIが学習データから引き出した情報である可能性があります。

その固有名詞が実在するか、そして社内で渡した資料の中に含まれているかを確認することが必要です。

一人称の経験を語る文──「私たちが見てきた」「実際に経験した」という文

「私たちのクライアントでは」「実際に運用してみると」「現場で見てきた中で」。こうした一人称の経験を語る文は、読み手に親近感を与えますが、AIが補完しやすいパターンでもあります。

あなたが具体的な事例をプロンプトに渡していない場合、AIは「それらしい経験談」を補完することがあります。自社の実績として書かれているように読める文が、実際には誰も経験していない内容である可能性があります。

特にBtoB・D2C文脈での事例記述は、「事業者としての信頼性」に直結します。渡していない経験談が混ざっていないかを確認することは、ブランドの誠実さを守ることにつながります。

効果を言い切る文──「◯◯できる」「◯◯が改善される」という文

「この方法を使えば成果が出る」「◯◯することで問題が解消される」「導入後に◯◯が改善された事例がある」。効果や結果を言い切る文も、確認が必要なパターンです。

AIは「論点を締めくくる」ために、効果を断言する文を生成しやすい傾向があります。文章の構造として「ここに結論が来るべき」と判断したとき、渡されていない根拠をもとに断言してしまうことがあります。

D2CやEC事業者にとって、これは特に重要です。商品の効果・成分・比較に関する根拠のない断言は、薬機法・景表法上の表現規制に触れるリスクがあります。「効果を言い切る文」を見つけたら、その根拠が社内で確認できるかどうかを必ず照合してください。


出力を確認するときの突き合わせ方

全文を疑うのではなく、該当する文だけを確認する

AIの出力全体をゼロから疑い直す必要はありません。それでは時間がかかりすぎて、AIを使う意味が薄れてしまいます。

確認の対象は、前のセクションで説明した「空欄補完が出やすい文の種類」に該当する箇所だけです。数値を含む文、固有名詞を含む文、一人称の経験を語る文、効果を言い切る文。この4種類に絞って、渡した材料と突き合わせることが効率的な確認方法です。

出力を読むとき、「空欄補完のパターンに当てはまるか」という視点を持つだけで、確認の速度は大きく変わります。

渡した材料と出力を並べて、一致するか確認する

具体的な確認の手順は、照合です。

AIが書いた文に「◯◯という調査では」と書かれていたら、その調査名が社内で渡した資料の中に実在するかを確認します。数値が書かれていたら、その数値が渡した資料のどこに記載されていたかを確認します。一人称の経験談が書かれていたら、その経験が社内に記録や事例として存在するかを確認します。

照合の作業は、出力ファイルと材料ファイルを画面に並べるだけで始められます。AIが書いた文の「根拠になるはずの情報」が、渡した材料のどこに書いてあるかを一つずつ確認する。一致すれば問題なし。一致しなければ、次のステップで判断します。

材料に無かった情報を見つけたときの判断

照合の結果、渡した材料に無い情報が混ざっていることが分かった場合、その文をどう扱うかの判断が必要になります。

判断の選択肢は3つです。次のセクションでそれぞれを説明しますが、共通しているのは「材料に無い情報をそのまま公開しない」という原則です。


材料に無かった情報への3つの扱い方

文の種類 空欄補完を見分ける手がかり 突き合わせる材料 材料に無かったときの扱い
数値を含む文 「◯◯%」「◯◯件」「◯◯年」といった数字が登場する その数値が記載されている社内資料・調査報告書 削除するか、正しい数値を渡して書き直させる
固有名詞を含む文 「◯◯という調査では」「◯◯という企業が」といった固有名詞が登場する その固有名詞が実在することを確認できる資料 削除するか、その論点ごと記事から外す
一人称の経験を語る文 「私たちが見てきた」「実際に経験した」「クライアントでは」といった表現 その経験が実際に起きたことを記録した資料・事例 削除するか、実際の事例を渡して書き直させる
効果を言い切る文 「◯◯できる」「◯◯が改善される」「成果が出る」といった表現 その効果が実際に起きたことを示す根拠資料 削除するか、条件付きの表現に修正する

削る──その文や段落を削除する

最もシンプルな判断は、削除です。

渡した材料に無い情報が混ざっていた場合、その文や段落を取り除くことで、記事の信頼性を保つことができます。特に「◯◯という調査では」「◯◯%の企業が」といった、根拠が特定できない記述は、削除することが確実な選択肢です。

削除した後に読み直して、記事の流れが崩れるかどうかを確認します。多くの場合、空欄補完が混ざった文は「なくても論旨が通る」ことが多いです。補完された情報は、文章を「それらしく」見せるために追加されているため、論点の核心ではないことが多いからです。

材料を渡して書き直させる──AIに改めて指示を出す

その論点について、社内で確認できる資料や数値がある場合、その材料をAIに渡して書き直させる選択肢があります。

「この部分に◯◯という調査を使って書き直してください。以下が調査の概要です」という形で、具体的な材料をセットにして改めて指示を出します。材料を渡した上で書き直させることで、空欄補完のリスクを減らすことができます。

ただし、書き直し後も同じ照合プロセスが必要です。「材料を渡したから大丈夫」ではなく、書き直し後の出力が渡した材料の範囲に収まっているかを確認します。

その論点ごと省く──その話題を記事から外す

その論点について社内で確認できる材料が無く、削除しても記事の流れに支障がない場合、その論点ごと記事から外す選択肢もあります。

「この話題は、今回の記事に必須ではない」と判断できるなら、段落ごと削除することで、事実に基づいた記事を作ることができます。

SEOライティングでは「情報量の多さ」が評価されると思われがちですが、根拠のない情報を含む記事より、確認できる情報だけで構成された記事のほうが、長期的な信頼性は高くなります。材料がない論点は、無理に書かせないという判断も、記事の質を守る選択です。


自社で対応できるか、外部に頼むべきかの判断

自社で対応するために必要な2つの条件

AIの出力を確認して、空欄補完を取り除くプロセスを自社で回すためには、2つの条件が必要です。

1つ目は、AIに渡す材料を用意できる人がいること。数値・調査名・事例など、記事の論点を支える情報を事前に集め、プロンプトに整理して渡せる人が社内にいるかどうかです。

2つ目は、AIの出力を渡した材料と照合できる人がいること。出力された本文を読みながら、「この数値はどの資料から来たのか」「この固有名詞は誰が渡したのか」を確認できる人が社内にいるかどうかです。

この2つが揃っていれば、記事制作を自社で回すことができます。どちらかが欠けている場合、外部に依頼することを検討する局面になります。

材料の用意ができない場合の判断

「この論点について、社内に確認できる資料がない」「数値の根拠をどこで調べればよいか分からない」という状況では、その論点についてAIに書かせることは難しい状態です。

材料が無い状態でAIに書かせると、空欄補完が起きる確率が上がります。この場合の判断は、その論点を記事から外すか、外部に調査・材料収集から依頼するか、という2択になります。「材料が無いまま書かせない」という判断は、記事の信頼性を守る選択です。

照合できる人がいない場合の判断

材料は用意できるが、「AIの出力を確認する時間がない」「担当者が変わって確認できる人が決まっていない」という場合、照合のプロセスが機能しなくなります。

この場合、外部に記事制作を依頼することで、材料の整理・執筆・照合のプロセスをまとめて委ねることができます。依頼するときに「この論点には以下の資料を使ってください」「この数値のみ使用可能です」という形で材料と方針を明確に渡せると、外部の制作側も空欄補完のリスクを下げた状態で進めることができます。


AIライティングに関するよくある質問

AIで書いた記事は、そのまま公開してもいいの?

AIの出力に空欄補完が混ざっている可能性があるため、そのまま公開することはお勧めしません。上述の「空欄補完を見分ける文の種類」に基づいて、渡した材料と照合し、材料に無い情報を削除または修正してから公開することが重要です。


プロンプトを工夫すれば、空欄補完を防げるの?

プロンプトの工夫は、空欄補完を減らすのに役立つ場合があります。「渡した情報だけを使って書いてください」「数値は以下の資料にあるものだけを使用してください」という指示を加えることで、補完の頻度を下げることができます。ただし、完全に防ぐことは難しいため、プロンプトの工夫と出力の照合を組み合わせることが重要です。


材料が用意できない論点は、どうすればいいの?

材料が用意できない論点については、AIに書かせずに、その論点ごと記事から外すことをお勧めします。または、その論点について社内で調査を行い、確認できる資料を用意してから、改めてAIに書かせるという選択肢もあります。根拠のない状態で書かせると、空欄補完のリスクが高くなります。


確認にかかる手間を減らすには?

確認の手間を減らすには、AIに渡す材料をできるだけ具体的に用意することが重要です。数値・調査名・事例など、AIが補完しやすい情報を先に整理してプロンプトに含めておくことで、照合の対象を絞ることができます。「何を渡したか」を明確にしておくと、出力の確認が速くなります。


外部に記事制作を依頼するとき、何を渡せばいいの?

外部に依頼する場合、「この記事に含めたい論点」「使用してよい数値や調査名」「避けるべき表現(薬機法・景表法上の規制表現を含む)」など、記事の方針を明確に伝えることが重要です。「この論点については、以下の資料を参考にしてください」という形で、具体的な材料をセットで渡すことで、空欄補完を減らすことができます。取引条件・価格・返品などの条件を含む場合は、公式サイトまたはカスタマーサポートにご確認ください。


まとめ:AIの出力を信頼できる記事にするために

空欄補完を見分け、材料と照合する──これが確認の中心

AIで記事を書くときの確認プロセスは、全文を疑い直すことではありません。

空欄補完が出やすい4種類の文(数値を含む文・固有名詞を含む文・一人称の経験を語る文・効果を言い切る文)を見分けて、渡した材料と照合する。このプロセスを回すことで、事実に基づいた記事を効率的に作ることができます。

AIを使った記事制作の速度は、材料の準備と確認プロセスの設計で決まります。出力の品質は、プロンプトの巧みさだけでなく、渡した材料の質と量に依存しています。

自社で回すか、外部に頼むかは、材料と人で決まる

このプロセスを自社で回すには、「材料を用意できる人」と「照合できる人」の両方が必要です。

どちらかが欠けている場合、外部に依頼することでプロセスを確実に回すことができます。依頼するときに渡すべきものは、「方針」と「材料」です。この2つを明確にして渡せる体制が社内にあれば、外部との連携もスムーズに機能します。

AIの出力は「信頼できない」のではなく、「確認が必要」

AIで書いた記事に誤情報が混ざる可能性があるのは、AIの能力の問題ではありません。渡されなかった情報を埋める仕組みの問題です。

この仕組みを理解した上で、確認プロセスを設計することが、AIを記事制作に使いこなすための実務的な出発点です。AIの出力を「完成品」ではなく「照合が必要な素材」として扱う。その認識が、SEOライティングにAIを組み込む上での、もっとも重要な視点です。


今夜、コーヒーを飲みながら。過去に公開したAI記事を1本だけ開いて、数値を含む文をひとつ探してみてください。その数値の出所を、30秒で答えられるかどうかを確認するだけで、今日からの記事の扱い方が少し変わります。


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